「お墓の管理や年回忌法要を子供や孫に残したくない」
こういった悩みを持った方が近年増えています。そこで注目されるのが永代供養です。しかし永代供養には気を付けなければならない点がいくつかあります。今回は僧侶暦16年の私からみた永代供養のメリットとデメリット、永代供養の注意点から寺院選びのコツをお伝えします。
永代供養とは
寺院や霊園が代理で管理や供養をすることを指します。
例えば、家族や子供が居らず先祖代々の供養を予め寺院に託される方や、自分が死んだ後の供養を家族に任せるのが申し訳ないという事で申し込む方などが居られます。
永代供養のメリット
・墓参りや供養の心配から解放される
・家族や親族に供養の手間をかけさせない
・供養の専門家である寺院に一任できる
永代供養のメリットは何と言っても今後の供養の心配から解放される事にあります。
「自分が死んだあと、自分の供養は誰がやってくれるんだろう」
「お墓参りは誰がやるんだろう。子供も居るが、押し付ける様で申し訳ない」
「高齢で体が思うように動かなくなり墓参りができない」
このように今後自分では供養を続けることができない、しかし家族や周りの人に迷惑を掛けたくないと考える人にとっては、永代供養は魅力的な選択肢であると言えます。
永代供養のデメリット
・信仰の継承ができない
・金銭的負担が大きい
・期間が定められている
・埋葬形式と勘違いされやすい
永代供養には良い点だけでなく、デメリットも存在しますので一つずつ解説します。
信仰の継承
「子供たちに墓参りをさせずに済む」というのはそのまま
「子供たちに墓参りをさせる機会を奪う」事に繋がります。
本人は墓参りや寺詣りが面倒なものだと考えているかもしれませんが、将来子供たちがそう考えるとは限りません。あなたにとって両親の墓参りが、唯々面倒なだけのものだったか。もう一度考えてみてもいいかもしれません。
金銭的負担
永代供養を申し込むためには、供養する対象一人につき50万円程度のお金が掛かります。これが高いとみるか安いとみるかは人それぞれでしょうが、多くの人にとっては最初の悩みどころであると言えます。
「これって妥当な金額なの?」
「もっと安い方法はないの?」
こういった疑問を持たれる方も多いと思います。
後述しますが、永代供養以外の選択肢を知ることでこの問題を解決することが出来ます。
期間について
永代供養は殆どの場合期間が設けられています。
大抵は33年~50年程で弔い上げを行い、遺骨は合同供養墓に移されます。
つまり個人供養の期間は永遠では無く期限付きという事になります。
合同供養は無期限で行われますが、個人供養については「永代」ではないということに注意が必要です。弔い上げは一般的には33年~50年ですが、7年・13年などの短期間での弔い上げを選択することもあります。
埋葬形式と勘違いしてしまう
永代供養は供養形式であり、埋葬形式ではない点にも注意が必要です。
供養形式:個別供養と合同供養があります。永代供養は個別供養です。例えるなら、個別供養はあなた一人が主役の誕生日会で、合同供養は今月が誕生日の人たちみんなを祝う誕生日会の様なものです。
埋葬形式:個別納骨と合同納骨があります。遺骨を個別に保管してもらうのか、他と一緒になるのかという事です。ネットで散見される情報では「永代供養は複数の人と同じ場所に納骨される為、改葬ができない」とありますが、これは正しくありません。
その寺院や霊園が永代供養を個別納骨で行っている場合には当てはまりません。
大抵の場合は永代供養は期限が来るまでは個別納骨にしますから、その間は改葬が出来る場合が多いです。
永代供養以外の方法は?
永代供養の他には合祀という方法があります。
上記の分類で言えば「合同納骨」かつ「合同供養」になります。
検索エンジンで【合同供養墓】【合祀墓】と検索すると出てきますが、値段も3万円からと永代供養と比べると驚くほど安価なものもあります。
上でも述べましたが永代供養との違いは個別供養が行われるか否かです。
・永代供養申し込み→個別供養(33年~50年)→合同供養
・合祀墓申し込み→合同供養
となります。
個別供養はあなた一人を祝う誕生日会で、合同供養はみんなを祝う誕生日会の様なものだと述べました。前者は人が増える毎に行われる回数が増える為お祝いする側も大変ですが、後者は回数が決まっている為何人参加してもそれ程大変さは変わりません。このように合同供養には時間的人員的なコストが掛からない為に値段も安く済ませる事が出来るのです。
まとめ
永代供養にはデメリットや勘違いのリスクがあります。
寺院や霊園に申し込む前に下記をチェックしてみましょう。
本当に子供たちに迷惑を掛けるのか、継承者が居ないのか
納骨形式は個別か合同か
供養はどの様に行われるのか
金銭的負担に見合っているか。合同供養・合同納骨で十分ではないか
個別供養の期間はどのくらいにしたいのか
需要が高まりつつある永代供養ですが、しっかりとその本質を捉えて決断して頂きたいと思っています。
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